「にんじん」

にんじんの小秘話

にんじんのふるさとは、アフガニスタンのヒンズークシ山脈と、ヒマラヤ山脈が
ぶつかり合う一帯と考えられています。このあたりで栽培されているにんじんは、
濃い紫色や黄色をした、細くて小さい原始的なものですが、
特有のくさみがなく、とても食べやすいのだそうです。
肥大にして栄養豊かになるとともに、独特のにおいを身につけてしまったようです。

日本で、にんじんについての最初の記録が登場するのは、江戸時代の始め。
中国から伝来したこの作物「コロッポー」を、日本で「人参」と呼んだのは、
古くから薬用として珍重された、別種のウコギ科の朝鮮人参に似ていたからです。

人参の「参」とは「仲間、身内」のこと。
つまり、人参とは「人に似たるもの」という意味ですが、
ふたまたに分かれたりする朝鮮人参から、人間の体を連想したのでしょうか。

にんじんの知られざる世界

子供たちには人気のないにんじんですが、栄養価の高いことは誰もが認めるところ。野菜の中で抜群の含有量を示すビタミンAをはじめ、B、C、カルシウム、鉄分、そして繊維質も豊富。特に近年人気の高いカロチンが100グラム中に7300マイクログラムもあり、にんじんファンの女性が急増しています。

ところでカロチンとは?にんじんの英語名キャロットに由来するプレビタミンA。つまり必要な分だけビタミンAに変わる栄養素のことで、とりすぎ弊害がない、合理的な栄養分です。そしてそのほかのカロチンは、そのままカロチンとして体内に貯蓄され、がんのリスクを低下させるという役目を果たします。

ビタミンAは粘膜の乾燥を防止して、細菌感染に対する抵抗力を高める働きをします。だから風邪、流感の予防や皮膚と粘膜の健康にかかせないのです。昔から「にんじんを食べると子だくさんになる」とか「根つめ仕事のあとの目の疲れによい」などといわれたのは、この働きによるものと思われます。

にんじんの食べ方

なお、カロチンは皮のすぐ下の組織に多く含まれているので、皮はごく薄くむく程度か、きれいなものならむかずにそのまま調理したほうがよいでしょう。油で炒めるほうが、カロチンの吸収率が高くなります。

すりおろしたり、生ジュースにした場合は、長く放置せずにすぐ食べること。にんじんに含まれるアスコルビナーゼというビタミンC破壊酵素が、酸素に触れて働きだすからです。しかしアスコルビナーゼは熱と酸に弱いので、もみじおろしをつくる場合などは、にんじんはかためにゆでてからおろすか、つくったらすぐに酢を加えれば、問題ありません。たくさん食べたい時は、別々におろして使いましょう。

サラダなどににんじんを入れる場合も、ドレッシングに少し酢を入れると、ほかの野菜のビタミンCを壊す心配がありません。

最近では葉を落としたにんじんが多く出回ってますが、実はこの葉の部分も根に劣らずビタミンやミネラルの宝庫で、血液をきれいにして、皮膚のつやをよくする効果があるのです。香りがセリ科独特で、天ぷらやお浸しなどにするとおいしく食べられます。手に入った場合は、捨てずに活用したいものです。

にんじんの見分け方

  • 選び方・・・あまり太すぎず、色が濃くて形がよく、肌のなめらかなものを選ぶ。根がしまってかたく、弾力があるものがよい。首のまわりが青いのは日焼けのせいだが、黒いものや堅いものは老化のしるしだから避ける。
  • 保存法・・・5度前後の冷暗所が最適。短期の保存であれば、冷蔵庫へ。冬の長期保存の場合は、土の中に埋めると春までもつ。


一口メモ・・・一般的には、にんじんの赤い色が濃いほどカロチンの含有量は多いといえます。しかし、京にんじんや金時にんじんの色はリコピンという色素によるもので、これはカロチンのようにビタミンAに変化しないのです。このリコピンはトマトやスイカの赤い色のもとでもあります。