「ねぎ」

ねぎの小秘話

今では日本人の食卓に欠かせないねぎも、古代にはむしろ、神事によく使われる
野菜だったようです。理由はあの鮮烈なにおいと、風邪や痛みに対する薬効が
あったためではないかと考えられています。吸血鬼よけの”にんにく”ではありませんが、
独特の強いにおいのある野菜は、魔よけのパワーがあると信じられていたのかもしれません。

ねぎは奈良・平安時代は「き」と呼ばれ、「紀」「岐」「葱」などの字が当てられていました。
このように一字で書かれたところから、ねぎは宮中の女官たちに「ひともじ」(一文字)と呼ばれていました。
熊本県の郷土料理に「ひともじのぐるぐる」という変わった名前の料理があります。
ねぎをゆでてぐるぐると巻き、みそをかけたものなのですが、都をはるか遠く離れた熊本に、
女房ことばが伝わっているものおもしろいですね。

ねぎの知られざる世界

ネギの独特の刺激臭は硫化アリルという揮発性の成分が原因です。硫化アリルには、胃や腸の壁を刺激して消化液の分泌をよくする働きがあり、それが食欲増進の効果をあらわします。さらに、ビタミンB1の吸収を強めるので、B1が多く含まれる豚肉などの調理に使うと、消化を助けるとともに肩こりや疲労がたまるのを防ぎます。硫化アリルは揮発性なので、調理の際に水に長くさらしたり煮込んだりしないほうが逃げません。

ネギには、主に白い部分を食べる関東の根深ネギと、緑の部分も全部食べる関西の葉ネギがあります。βーカロチンやビタミンCが多いのは、緑の葉の部分。βーカロチンは体内で、粘膜の生成に重要なビタミンAに転換し、目の疲れや病気を防ぐのに大切なビタミン。ネギが甘みを増す冬場は特に、角膜が乾燥するドライアイの予防に役立ちます。また、ネギにはカリウムやカルシウムも多く含まれています。

ねぎの旬・見分け方

  1. 根深ネギは冬になると、土中の部分が栄養分を蓄えて休眠状態にはいるので、白い部分が長くなり、甘味や風味が豊かになる。埼玉県の「深谷ネギ」が代表。
  2. 葉ネギは休眠しないため、葉の生長に養分を使い、そのため白根が発達しない品種。栄養価が高く柔らかい。
  3. 煮ておいしいネギで有名な群馬県の「下仁田ネギ」は、フランスのポワローに似た西洋ネギの系統で、土質の関係でこの地しかできない。
  • 選び方・・・白い部分と緑の部分がはっきり分かれていて光沢があり、白い所を触ってみて締まっているものがみずみずしい。緑色の部分に茶や黄の斑点があるものは味が落ちるので避ける。
  • 保存法・・・新聞紙で包んで冷暗所に。泥つきは土に埋めておくと1ヶ月くらいもつ。


一口メモ・・・民間療法では、風邪をひいたときに、白い根の部分を細かく刻み、煎じて飲むとよいと言われます。これは、ネギに体を温める作用があるためです。